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映画『遺体 明日への十日間』 [今日の出来事]

「やっぱり観ない方がよかったかも」
映画『遺体 明日への十日間』を観始めてすぐ、そんな風を思った。

何気ない日常を、穏やかに過ごす人々の姿を描いた直後、映像は激しい揺れに切り替わる。画面は暗い劇場に溶込み、まるで今この瞬間、この場で、地震が発生している感覚に陥らせる。津波など実際の映像はなく、役者が演じているにもかかわらず、これが当時現実に起きたこと、と観客に思わせるのに十分な映像。まさに自分の座っている地面が揺れてきそうで、チケットを買っていると意識しなければ、確実に席を立っていた。

もうすぐ2年前のあの日がやってくる。

オフィスにいた私は、人生で初めて、避難訓練通りに机の下に逃げなくちゃと思った。首都圏に住む人々の大半と同様に帰宅難民となり、それでも自宅に戻りたくて、深夜に動き出した新幹線の乗車券を求めて寒風吹きすさぶコンコースで数時間待ち、救出しに車を走らせてくれた両親が駅に到着するまで、寒さに体を丸めて耐えていた。恐怖ではなかったけれど、不安だった。

実際には何が起こったのか、いつか来ると言われる首都圏の直下型震源地震にどう対処すればいいのか、知りたいことはいくつもある。ただ、震災関連の情報に触れると、心が落ち着かなくなる。
2年経っても一向に進んでいないと報じられている被災地の復興、原発の問題、わずかばかりの金銭的援助を定期的に続けているだけで、実際に何も貢献出来ていないという思いも相まって、ここ数日増えてきた、311の報道に若干のストレスを感じている。被災地の思いはいくばかりかと思うと、こんなにも報道する必要があるのか?と考えてしまう。

それは映画であっても変わらない。
311関連の映画の公開が増える中、それらの作品を観ようという気は起きなかった。被災地の方々には支援が足りないという思いが強いのかもしれないけれど、あの日をなんらか体験した者が忘れるはずがない。興行収入が被災地に贈られるというのであっても、別の形で支援すればいいと思っていた。

そんな思いがある中、この映画を観る気になったのは、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』を読んだからだ。賞を取ったせいか、本屋で平積みされていたこの本の、聞いたことのない職業と、昨今発生したアルジェリアの事件もあり、手に取る気にさせた。冒頭から、こんな事で金儲けする輩がいるのか?と怒りが、この本を読み進めさせた。日本人独特の弔いのスタイル、見送る遺族があってこその死というフレーズが、自分の死を見送る遺族がどれほどいるのか?という不安で胸に迫った。子供を持たない我が家にとって、冗談ながら、どちらが早く死ぬかというのは、先を競って「自分が先」というなる話題だ。家族が死者を弔う意味を考えるさせるのに十分なインパクトだった。

なぜ生きている時と同じ顔、姿に拘るのか、死と向き合うというのはどういうことか?、色々考えさせられる映画だったのは間違いはない。

死と真摯に向き合う人々に、ただただ頭が下がる。
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